「この世界にはもう、用はないかな」
小さな小さな長耳の彼女は、そうつぶやいた。
「気が向いたらまたくるね・・・まさか、愛の妖精が愛を教えられるなんて思わなかった」
誰もいない静かな砂浜で、想い出を語るように言葉を出す。
その場所は満月の月明かりによってどこまでも広がる海を照らしていた。
神秘的なものを感じさせるその場所に彼女はいた。
愛の妖精リャナンシー
それが彼女の種族であり、名前であった・・・。
手のひらに乗りそうなくらいな小さな身体。
ピンク色のサラサラとした長い髪が風でなびいている、背中にはいかにも妖精といった透明に近い羽根がついている。
服装もピンク色で、長袖、長ズボンで裾の端部分は金色の染色がされている。全体的に露出が低い。
肩が露出しているが、裾と袖には金色の炎のような模様が肘や膝に伸びるように描かれており、暖かそうな服に見える。
また、左手の手首には猫が首につけていそうが鈴が二つ付いていた。
その鈴はリャナンシーが行動を起こすたびに綺麗な音を発している。
「この世界のことは、忘れないよ・・・貴重な体験しちゃった」
その言葉は、誰に向けて言われた言葉なのだろうか。
誰かが聞いているわけでもないのに、そのような言葉をつぶやいた・・・。
「・・・本当に、忘れないよ、あなたにもらった名前、忘れないから・・・」
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ありがとう、名前をつけてくれて・・・
私の名前は・・・
グラス・ホープフル
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グラス・ホープフル・・・それが彼女、妖精リャナンシーにつけられた名前であった。
彼女は踊り、そして、歌い始めた。地面には立たず、常に宙を飛びながら踊る。
まるでそこに地があるかのような動きと、満月を背にしたその姿が美しい。
満月をバックに、神秘的なその踊りから魔法陣が描かれていく。
・・・グゴゴゴゴゴゴ・・・
魔法陣が見る見るうちに変化し・・・空間が歪む。
そこにゲートが開かれた、ぐにゃぐにゃとした亜空間のような、表現しがたいものが見える。
それは、今ここにいる世界とかまったく違う、別の世界へと繋がる場所を行くものである。
妖精は様々な種類が存在する、こうして、異世界に飛び回る者がいることも珍しくはない。
「さあ、行こう」
ゲートが開いたことを確認したグラス、背中の羽根がゆっくりと消えていく。
その羽根は飛ぶために、出したい時に出せるようだ。
何かからふっきれたように、迷いなく、完全に身をまかせるようにしてそのゲートに飛び込んだ。
・・・シュンッ・・・
ゲートが、閉まった。
・・・
妖精界と言われた妖精の国が存在する場所・・・
そこにはたくさんの妖精がいて、色んな世界とつながっている。
そのためか、そこの妖精たちはどんな世界にも存在し、世界を渡ることができ、見ることができる。
ある妖精は人に化け交流を持ち、ある妖精はいたずらをしてまわりに迷惑をかけ、
ある妖精は冒険にでて捕まって売られたり、ある妖精はセーブや回復をしてくれる。
ようするに、妖精たちのほとんどは暇を持て余していたり、気まぐれだったりするのである。能力も様々だ。
グラスも、その一匹であった。愛した男性の詩人の才能を開花させる代わりに
精気を吸い取り、寿命を短くしてしまう。それが、リャナンシーである。そのはずなのだが・・・
「もう、妖精界には戻れない・・・今度はどんな世界が待っているかな」
ぐにゃぐにゃとした、亜空間のような場所、目が回りそうなその場所で、目をつぶり、到着を待つ。
『妖精界には戻れない』
その言葉の意味は、彼女は妖精ではなくなったと言えるくらいの変化をしてしまったこと。
リャナンシーとしての、妖精としての能力を逸脱してしまったこと、それが原因であった。
彼女の能力は、男性だけでなく人外や同性、すべてを対象に好いた者の得意な能力を最大限に引き出すという能力に変化していた。
さらに、動物でも、植物でさえも精気、および生命力を奪い取ることができる。
奪い取る方法も、少しでも好意を寄せれば奪えると条件が緩和されている。しかも相手が好いてなくとも一方的に好きになればいいのだ。
ここまで変わると、姿、形は妖精のままではあるが、本来のリャナンシーとは完全に別物であり、魔物化していると言わざるを得ない状態なのである。
妖精は自然界との繋がりが強い。それ故に、その能力は妖精たちにとって非常に危険な存在となってしまっている。
それが、妖精界へ・・・故郷へ、戻れない理由だ。
「・・・別に・・・寂しくなんてない・・・」
グラスは、これまでたくさんの男性の精気を吸い取り、数え切れないほど交わってきた。
お互いに愛しているように見えるが、彼女はただ精気がほしいがために付き合っていた。
『人を食料として見る』ような感覚である、言葉にするだけでもそれは恐ろしかった。
しかし、本気で恋をし、本当の愛を知った日があった。本当の愛を知った彼女は、男性から精気を吸えなくなった。
他の男性を、愛することができなくなったから・・・。
当然、力は失われ、生命力は弱っていった。
存在が消えてゆくのを感じ始めた彼女が行き着いた生存の道は、魔物化という道しかなかったのだ・・・。
・・・
―――――――――――――――――――――――――――
でも、後悔はしてないよ。
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グラスは、不思議と穏やかな表情をしていた。
眩い光につつまれる。行き先はわからない。
ただ流れに身をまかせてどこに行き着くかを放浪していた。
『今度はどんな世界が待っているのかな』
そんな期待や不安を胸にしまって、ゲートを抜けた。
シュバッ!!
「にょあっ!?」
「えっ?」
ゴツッ!!
・・・
ゲートを抜けると見知らぬ世界・・・のはずだったが、それよりも先に見知らぬ人物に出会うこととなった。
あまりにも突然なことであったため、避けることもできずお互いに頭をぶつけ、痛々しい音が響く。
相手も急に目の前に現れたことには対応できず、正面衝突という形になってしまった。
「・・・っ・・・いっ・・・きゅうっ・・・」
「いたぁ~、びっくりした・・・誰~?」
グラスはその場に倒れこみ目を回している、漫画的な表現をするなら頭に星、またはヒヨコが飛んでるような状態だ。
相手は頑丈なのか、大したダメージになっていないようだ。
突然の頭突きに少々ご立腹の様子だが、グラスの様子を見るときょとんとし始めた。
そこにいるのは、金髪の短めなショートヘアで少しボサってした髪をしている、とても長いアホ毛が特徴的な長耳の少女。
身長はぱっとみてグラスと同じくらいである、これによって相手も妖精であることが伺えた。
服装は、まるで汚れを知らない海のような綺麗な水色のローブとマントで
その服の裾の端部分の金色の染色も、金髪の髪や手首、足首につけられた金色のブレスレットとアンクレットがマッチしている。
と、最初はそう印象つけられたものの、肩まで露出したそのローブは横から見ると全く生地はなく
肩どころか明らかに大事なところまで露出している。しかも下着をつけていない、ぱんつはいてない。
なんとも大胆な服装である。
「誰かな~この子・・・新しい調教相手?・・・にゃは、誰でもいいや、かわいいしいじめちゃお♪」
危ない発言をするその妖精は無邪気で可愛いその顔に似合わず、ものすごい悪だくみをしてそうな顔をしていた・・・。
グラスは、その妖精に抱えてこまれて運ばれ、診察台のような台の上に仰向けにして寝かされた・・・。
・・・
・・・
「ハッ」
「ハッ」
朦朧としていた意識が回復し、目を丸くして上体を急いで起こす。
まさかそんなに早く目が覚めるとは思ってなかったという様子で、金髪の妖精は目を丸くして驚いていた。
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うーん、うかつだった・・・別世界に飛ぶのはいいんだけど
そこのどこに飛ぶかまではわからないんだったよ・・・。
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まだ少しぶつけたおでこが痛むのか、目を瞑って右手で抑えて少し首を横に振った。
意識がはっきりとしてきたところで、金髪の妖精と目を合わせる。
「えっと、あっ、さっきはごめんね突然、って・・・」
「や、やっほーめゆだよー♪」
突然メユと名乗りだしたその妖精は、服装の構造をうまく利用するかのように手にもっているものを服の下に隠した。
本人はうまくごまかしたつもりのようだが、グラスにはっきりとその手に持っていたものを認識されてしまうほど隠すのが遅かった。
うっかりさんなのであろうか。
グラスは先程、突然現れて強烈な頭突きをいれてしまったことを謝ろうとするが
そのような気分ではなくなると同時にメユを疑惑を感じてるように半目で見つめた。
「首輪に鎖にバイブにローター、あと、ピアス・・・?ずいぶんとすごいものもってるね」
「にょあっ!?さてはエスパー!?」
「それはひょっとしてギャグでいってるのかな」
どうやらもう少し起きるのが遅ければ視聴者大サービスになっていたようだ。
拘束してそれらの道具を使い、調教する気満々であったことが伺える。
普通ならば、このような状況であれば怯えてしまいそうだが、グラスは妙に冷静であった。
やはり愛の妖精、これまで数々の男性を喰い物にしてきたリャナンシーの余裕の表れであろうか。
「バレてるならしょうがない!覚悟~!!」
「ちょっ!?」
メユは手に持っていた禍々しい道具をグラスのまわりにぶちまけながら押し倒した。
さっきまで冷静だったグラスはそれによって焦りはじめる。
「ちょっとまったぁ!?」
「大丈夫だよ~痛いのは最初だけだから~」
話を聞かずにメユは、グラスのあそこを服の上から愛撫してくる。
手馴れた様子で、上手く服が擦れるような手つきで刺激を与えてきた。
「ひ、んっ・・・!だ、だから待ちなさいってばぁ!」
「なんで?ここにいるってことは、こういうことじゃないの?」
「どういうことでこういうことなのか説明してほしいんだけど・・・」
「それはこっちのセリフだよ、どうやってここに入ってきたの~? 連れてきた覚えはないんだけど」
上手く話がかみ合わない。
グラスは何よりも、ここがどこなのか、なぜこういうことをされているのか。
その答えを探そうと必死になる。
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この世界に飛ぶのに力使ってくたくただし・・・
・・・この子から精気を・・・
・・・だめ、奪うには情報が少なすぎる・・・
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疲れきった身体と、今も責めたててくるメユの攻撃によって考えが乱れつつも、なんとかして言葉を考える。
密かな悪意の企みを隠しつつも、ゆっくりと・・・。
「このままだと私は抵抗せざるを得ないよ・・・?ねぇ、あとでいくらでもあなたのやりたいようにさせてあげるから、まずはお話しない? お互い何者なのかも知らないんだし、ね・・・?」
「ん~・・・確かにめゆも気になるかも、あと、無理矢理も好きだけど素直な子のほうが好きだし、うん、わかった!」
やっと思いついた言葉は、苦しい言い訳だったがメユはその条件で賛成してくれた。
普通ならおとなしく調教されるなんて発言は信じてくれなさそうなものだが、
こうも簡単に受け入れてくれることに、どこか純粋さを感じさせた。
「はぁ・・・はぁ・・・」
「にゃはは、手先の器用さにはちょっと自信あるよ~」
「・・・・・・」
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ずいぶんと余裕じゃないの・・・
あとで後悔させてあげるんだから・・・
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顔を赤らめて濡れた股を両手で抑えている。服の上から少しあそこを弄られただけでこの状態・・・。
グラスの心には逃げるという気持ちはなかった、逆に、メユの妙な自信を見て闘争心を燃やし、立ち向かうことを考えていた。
だが、それは相手に悟られないように、あえて弱みを見せるような姿勢で、涙目でめゆに訴えるようなポーズをとった。
「うう・・・私は愛の妖精、グラス・ホープフルだよ」
「愛の妖精?なんだかすごくえっちそう♪」
「あはは、間違いではないよ・・・」
「それじゃ、グラスちゃんって呼ぶね!」
「それでいいよ、で・・・なんで私がここにいるかというと・・・」
・・・
ひとまずは、グラスがなぜここにきたのかを先に説明する。
別世界のこと、妖精界のこと、空間を越えてここにきたことを話していく・・・。
「なるほど、それで偶然ここにきたわけだね」
「うん、本当に偶然にね」
「そっかー、なんだか運命を感じるね~」
別世界に飛ぶその能力によってメユとグラスが出会ったことは、確かに運命に近いものを感じるといっても過言ではない。
世界の形は様々ではあるが、基本の世界は太陽系の中にある一つの星であり、夜は月が明かりを照らす一つの水の星にすぎない。
しかし、一人や一匹の生物たちにとっては星一つでも広大で、その星全域のどこにでるかわからないとなれば、考えただけでも恐ろしくなる。
余談だが***かべのなかにいる***とかいうことにもなったことがあるらしく、妖精じゃなければ即死だったという状況も多かったようだ。
「妖精界かぁ、めゆも妖精郷にはもう随分長いこと帰ってないなー」
「・・・あなたも妖精なのね?」
「えっ?うん、めゆは妖精だよ!」
・・・同じサイズ・・・リャナンシーは人間の子供に近いくらいの大きさになれるが
普段はごく一般的な妖精とかわりない手のひらに乗るくらいのサイズ・・・
相手とは同じ目線・・・そうでなければさっきのように見事な頭突きをするわけがない。
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背中に羽根は生えてないみたいだけど・・・
きっと私と同じで必要がない時はしまえるのね。
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相手も妖精であることにようやく気づく。
先程メユが用意していた妖精用のバイブや首輪などを初めて見たというのもあったため
てっきり自分が人間サイズになっているのかと錯覚していたようだ。
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・・・よりによって最初に出会ったのが妖精だなんて・・・そう思ったけど・・・
・・・この子の様子を見ると私のいた妖精界に住むの妖精とは違う見たい。
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リャナンシーは魔物化し、妖精界を追放された妖精・・・。
それ故に、他の妖精からは仲間として見られることはないどころか
冷たい目をする者もいれば、敵意を抱かれることもあり、妖精たちとは上手くいっていないのだ。
しかし、このメユの反応を見る限り、どうやらグラスは普通の妖精としか認識されていないようだ。
メユは妖精界ではなく、妖精郷のことを話していた。
そこが故郷・・・とまではわからないが、別次元の妖精であることが伺える。
「しかもグラスちゃんも妖精だなんて、ますます運命を感じるね・・・きっとそれは調教される運命!とあー!!」
「ま、まってぇー!!?」
グラスは再び押し倒されてしまう、大声をあげてメユを静止し、説得をする。
「もー、なによぅ」
「まだそっちのこと聞いてないしここがどこかも聞いてない!!」
「そんなのどうでもいいじゃな~い!」
「よくない、よくないから・・・も、もう少し我慢して、ね?」
「むー・・・」
メユは不満を募らせてるような顔をして頬をぷっくりと膨らませた。
押し倒すのをやめ、しぶしぶと解放する。グラスはメユのノリに疲れたかのようにため息をついていた・・・。
「仕方ないなぁ、ここは地下室だよ、そしてめゆは夢の妖精!名前はメユ=ツァメレントっていうんだよ!無害だよ!」
「どこが無害!?」
これまでの経緯を見せ、見られていたというのに「無害」を主張するメユに
グラスは即座にツッコミをいれるしかなかった。
「えー?どこから見ても無害だよ~?」
「一体どこが・・・いや、うん、無害・・・でいいや」
「でしょ~♪」
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危なかった。この子のペースに乗ってしまったら話が進まない・・・。
それよりも状況を整理しないと・・・。
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「地下室・・・か・・・」
・・・
一体どこの地下室なのであろうか。そこまではメユは教えてくれなかった。
あたりをよく見回してみる、そこは地下室と言っているだけあって薄暗い。
怪しげな機械や拘束具、三角木馬が目に入る・・・、首輪やピアスといった装飾品の入った箱もある・・・。
ビンの中でうごめくグロテスクな物体が並べられているのも確認できた。何かの生き物が入っているのだろうか・・・。
「・・・ねぇ、あのビンの中で動いてるのは何かな?」
「触手さんだよ」
他のものはとくに聞かなくてもわかったのか、謎に包まれた物体のことだけを聞く。
メユは、それを笑顔ですぐに答えた。
グラスはその迷いのない回答に背筋をゾクッとさせる。
「・・・飼ってるの?」
「うん、結構お世話大変なんだよ~?」
触手といっても、様々なものがあるが、場所が場所だけに、何に使うためのものなのか。
どのような用途で世話をしているのかが安易に想像できた。
グラスは少々混乱気味になり、頭の整理をするために少し考えこんだ。
―――――――――――――――――――――――――――
ここは、何かの拷問室・・・?
その割にはどちらかというといかがわしいものが多いし・・・
・・・調教・・・そしてさっきからのこの子の行動・・・
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機械に関しては、明らかに人を拘束するような形になっている。
人間を拘束するためのものだろうか、そのすぐ横には妖精用と思われる小さなサイズもある。
どちらにしろ、この部屋の雰囲気からしていかがわしいことに使うものであると解釈できた。
御丁寧にどのような体格の種族にも使えるようにされている。
どちらかというと小さめの種族に対応しているようにも見えるが・・・。
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なんとなくだけど、この地下室の設計者の意図が見えてくるわ・・・。
小さい女の子が好きなのかな・・・。
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この地下室は何のために作られたのか・・・。
メユの言っていたこともまとめても、考えてみてもよくわからないが、これだけは理解できる。
ここは陵辱を繰り広げる場所であると・・・、ここに連れてこられたものは無事ですまされないと・・・性的な意味で。
「・・・なるほどね、やっと、私の状況が見えてきたよ・・・」
「にゃはは、やっとわかった?」
メユは無邪気な笑いを見せた。
無邪気とはいっても、この状況で出されたその笑い顔は小悪魔的なものを感じさせた・・・。
「えーと、じゃあ・・・メユ=ツァメレントだっけ? なんて呼べばいいかな?」
「めゆでもめゆーでもどっちでもいいよー」
「ん、わかったよ、めゆでいいかな?」
「めゆーでいいってば!」
どういうことなの・・・。
どちらかというとそちらの呼ばれ方のほうがお気に入りということだろうか。
「え、ええ・・・?じゃあ、めゆー」
「めゆーめゆー」
「め、めゆーめゆー・・・?」
「めゆーめゆー」
「めゆーめゆー」
「めゆーめゆー」
「めゆーめゆー」
「めゆーめゆー」
「・・・そろそろ話進めない?」
「うん」
二人は何かを察したように意味のわからない掛け合いをやめた。めゆーめゆー。
「それじゃ今度こそぉ~!!」
「あはは・・・で、結局こうなるのね・・・」
もはやグラスはあきらめたかのようにメユに押し倒された。
「おとなしく調教されちゃいなよ~、何も考えられないくらい気持ちよくしてあげるから~」
「・・・わかってるの?私は愛の妖精、簡単に調教できると思ったら大間違いだよ・・・?」
―――――――――――――――――――――――――――
ありがとう、めゆー・・・あなたがどんな子なのかはわかってきたよ
おかげで「好き」になれそうだよ・・・これなら、別世界に飛んで使った力も回復できそう・・・
・・・めゆーの精気、もらうね・・・?
―――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――――――――
気の強い子だなぁ~、調教したらどんな風に変わるのかな、楽しみ~
めっゆめゆにしてやんよ~♪
―――――――――――――――――――――――――――
「ふふふふふふ・・・」
「ふふふふふふ・・・」
二匹は邪気に溢れた笑いを見せる。
それはどこか似たもの同士なところを感じさせた・・・。
互いに笑ってみせた次に、二匹の妖精は口づけを交わす。
それは、甘く切ない淫靡な戦いの合図を意味していた・・・。
続く。