少女は目を覚ます。
日の光ではなく、男の手でもなく、その音と香りによって。

「ん……」
「あ、起きちゃったか。ごめんね」

その音はフライパンが何かを焼く音。
香りは肉の焼ける香ばしい香り。
聞こえた声は……。

「え?」

テーブルに突っ伏していた体勢から顔を上げて、男の方を見る。

「ん? どうかしたの?」

そこには心底不思議そうな顔をして少女へと顔を向けるエプロンをつけた男。
手はいつものようにフライパンを操っている。
その声は心配している様子が解るような声音で、いつもの平坦なものではない。

「その声……」
「僕の声がどうかした?」
「……っ!」
「え、いやちょっと危ないよ!?」

少女は声に成らない声を上げて男に駆け寄って抱きつく。
軽い衝撃を受けた男は困ったように笑って少女の桃色の頭を左手で撫で、右手ではフライパンを落とさないように持っている。

「……取り戻せたんだね」
「えっと、うん、そうみたいだね」
「もう、なんでそう人事なの?」

男を見上げて膨れる少女に、男は相変わらず困ったように笑って頬を掻く。
その全ての仕草が、その声が、今まで聞いたことの、見たことない物で少女の目には新鮮に映った。

「とはいっても実感がないからね。うん、でも……よかった。まだ喜怒哀楽だけみたいだけど。悔しいとか、恥ずかしいとかそう言うのはまだ駄目みたいだ」
「どうしてそんなこと解るの?」
「たぶん、君の前で泣いた事を恥ずかしいとか、悔しいとか思ってしまうはずなのに。そう思えないからね」

笑って、男はフライパンの中身を盛り付ける。
そこにはウインナーと卵ををまとめて焼いて塩コショウで味を付けた料理が湯気を立てていた。

「さて、食べよう。泣いたせいか知らないけどお腹がすいちゃってね?」
「……ふふ、じゃぁお腹いっぱいになったら食後の運動もしようか?」
「二夜連続は流石にきついものがあるんだけどねぇ」

悪戯気に笑う少女に、男は相変わらず困ったような笑みで返す。
そのやり取りに、男の声に色がついたことに少女は喜びを感じる。
男を自分の虜にする為に感情を取り戻させようとしていた。
だけど今は、素直にその結果が出たことに喜びを感じている。
惚れさせて精気を吸う、そんな考えはこの一時少女の頭から消え去っていた。







「おはよう」
「おはよう、朝ご飯もうできてるよ」
「……なんで私より元気なのかな?」
「元兵士だからね。それなりに体と体力は鍛えてるからじゃないかな?」

恥じらいなく、至極当然といった風に返す男に少女はため息をつく。
結果が出たことは嬉しい、けれども。

「恥ずかしいって反応を求める方がおかしいけど、そういうの感じてもいいんじゃないの……」
「そうは言ってもね。まだそこら辺はどうにも……」
「むう、仕方無いのかな」

結局目的のためにはまだまだ頑張らなければならないことを理解して苦笑を洩らす。
椅子に座り、テーブルに置かれている湯気の立つスープと温かいトーストに目をやる頃には男も対面側に座って食べる用意をしていた。

「ん、いつも一人で食べているのに。私を待ってたの?」
「うん。君と一緒に食べた方が、楽しいと思って」

困ったように笑う男。
昨日から何度も見ているその笑顔。
それに向けて、軽く頷いて少女はスープを一口すする。

「ありがとう。きっと僕は、君のお陰でこうして笑っていられる」

トーストを齧る男は、そう言ってスープを一口飲むと、苦笑する。
それに対し呆れたように溜息を吐く少女。

「そう言う事本当、恥ずかしげもなくよく言えるね?」
「実際恥ずかしさを全く感じないから」

そう言って男はからかうように笑い。
少女もまたそれにつられてクスクスと笑っていた。
今まであり得なかった会話のある食事。
食材はありふれた物だったけれど、そこには笑顔があった。







朝食後、買い物に行くという男について行かず、少女は一人自分のベッドに転がっていた。

「私、一体どうしちゃったんだろう……」

額に腕を当て、静かに目を瞑る。

「嬉しい、はずなのに」

男が感情を取り戻す。
そのことは目標にしてきた。
笑顔を見るということも目標としてきた。
そして、何時か自分を愛させるということも。
でもそれは自分が男から精気を得る為。
自身の力とする為。

「男なんて……私の力を強める為の存在でしかないのに」

そう呟いて、男の顔を思い出す。
無表情を貫いていたあの顔。
困ったように笑っていた写真のあの顔。
ただ苦しいと静かに泣いたあの顔。
そして……。

『ありがとう』

「……どうして、素直に喜べないんだろう」

それらを思い出して、少女は体を起こす。

「どうして……喜びたいって思ったんだろう」

その手はベッドのシーツをしわになるまで握っていた。
けれども少女は気がつかず、ただただ床の木目を見ているだけだった。







男が帰ってきてから夕食を取り、今二人はのんびりと茶を飲んでいる。

「……本当、物がない家だよね」

考えた結果、少女は男のことと観察しその人となりをもう少し詳しく知ることにした。
何もわからない現状でそれが一番だと少女が思ったからの選択だった。
何故自分でもそう思ったのかわからなかったけれど。

「だね。殺風景すぎてつまらないかな?」
「別に、そんなことはないけどさ」
「それならいいんだけどね……今まで僕一人だったから、内装に気を使う必要もなくてね」

笑う男。
その顔を見て少女は思う。
今まで自分は世話になってきた。
食事も作ってもらっている。
でも彼は今まで一人で生活をしてきて、何も収入を得ている様子はない。
そう、ただ毎日を本を読み、会話を交わし、料理を作って過ごしている。
そして、自分に何を求めるわけでもない。

「……ねぇ? せっかくの才能を使おうとは思わないの? 吟遊詩人として名を売れるよ?」

と、少女は男に問う。
リャナンシー、愛と才能の妖精である彼女に憑かれた人間は美しい歌声と文学的な才能を授かる。
だから、この男にも少女が憑いている以上才能を得ているはず。
しかし少女は男が歌を歌ったところも、文を書いたところも、詩を歌うところも見たことがない。
収入に繋がるもののはずなのに、用いたことがない。

「うん、僕には必要ないし。……それに、そうやって僕自身の力じゃないもので活躍するのもどうかなって思っちゃうし」
「ふうん……」

その言葉に少女は整った眉を寄せて、尖らせた口を男に見えないように隠して興味のない風を装う。
が、その実自分を否定されたような気がしてつまらなく感じていた。

「それに、僕がそんなことをしたら今いる詩人さんが職を失っちゃうかもしれないからね」

それに気がつかず、男はそう言って笑う。
その言葉に気分を若干良くした少女は笑って返す。
つまりそれは、自分の与える才能が詩人から職を奪う恐れのあるほどだと評価しているという事だから。

「だったら、私の前で歌って見せてよ。それならいいでしょ?」
「でも僕なんかの歌じゃ……」
「いいのいいの、私はどんな歌でも好きなんだから」
「わかったよ……一つしか知らないけどね」

男はゆっくりと息を吸ってから、唇に歌を乗せる。

「月の階段 風の子守唄
次の旅路へ 行くのならば
今だけ 安らぎを

木漏れ日と 土の香りを
思い出して 思い馳せる
遠い日の 思い出に

君の行く先に 遠き路の先に
数多の幸せが あらんことを」

ゆったりとしたリズムに乗せられた歌は、静かに空間に染み渡る。
澄んだ歌声、男の持つ元々の綺麗なバリトンに少女の与える才能が合わさり綺麗な歌を紡ぎ出す。
歌い終わった男は、一つ息をついて恥ずかしげに頬を掻く。

「ははは、流行りの歌とか知らなくてね。生憎僕にはこんな歌しか歌えないよ」
「ううん。優しい歌だね。なんて言う歌?」
「生憎題名まで覚えてないんだ。誰かの旅路を見送る歌だと思うんだけどね……」

困ったように、申し訳なさそうに男は笑う。

「誰かに歌ったことはあるの?」
「うん、退団する仲間たちにね」

そう言った男の顔に悲しみが見えて、少女ははっと気がつく。
彼にとって仲間との思い出は嬉しいものばかりではなかったことに。

「……ごめんなさい」
「気にしないで。別に、もう悲しくなんてないから」

相変わらずの笑顔。
何時も困ったように笑う彼の癖について、少女は気が付いていたし、あまり好きではなかった。
こんな時に笑われるのは、嫌だった。
何故だかはわからないけれど。

「そういえばさ、聞きたいことがあったんだ」
「ん?」

と、少女が考えていると男が珍しくそんなことを言ってきた。
少女は思考を止めて、男の方へと顔を向ける。
その途端。

「君は、寂しくはないのかな?」

男は平然と、そんなことを聞いてきた。

「なん、で?」

それが唐突だったこともある。
でも、自分でも理解できないところで、その言葉に反応してしまった。

「ううん、ただ何となくさ。一人だったのかなって、思ったから」

男の言葉を聞いて、考える。
長い期間過ごしていたのは人間だった。
だけど、ずっと自分の為の栄養源としか思っていなかった。
だから一人、そう言ってしまえるのかもしれない。
寂しいのかも、しれない。

「一人じゃないよ、今は君がいるじゃない」

だけど、そんなことを悟られないようにと少女はそう言って笑う。

「そうだけど……僕もそう長くはないからね」

その笑いは、その一言で凍りついた。

「え……?」
「君から見たら僕の寿命なんて短いものでもあるからね」

その言葉に、凍っていた笑顔をどうにか戻した少女は、何か疲れたように溜息を一つ。

「……吃驚させないでよ、もう。病気かなんかかかってるかと思っちゃったよ」
「ははは、ごめんね」

男はいつものように笑う。
それがいつまで見れるのか、今まで考えていなかったことを少女は自然と考えてしまった。







明くる日。
夕方まではいつもの日。
ただ夜に変化が訪れる。
いつもは男が作っている夕食を、今は少女が一人で作っている。

「いいの?」
「いいの、何時も作ってもらってるんだから。たまには、ね」

何時もは少女が椅子に座り本を読み、男が台所に立ち料理していた。
だが今ではそれが逆転している。
こうなったのは、単に少女が男に料理を作らせてほしいと願った為。

「なんか悪い気がする」
「気にしすぎだってば」

そう受け答えしながら少女は頭の片隅で考えてしまう。
この男は、どこまでも無色なのだと。
自分が居るのに、自分に何を求めるでもなく。
ただ衣食住を提供し、こちらの言う事を全て受け入れる。
快楽を求めず、才能も求めず、ただ目の前の存在を同居人として接する。

「……だから、かな」

ぽつりと呟く。
後に続く言葉を飲み込んで、包丁を動かす。
この行動も自分らしくない、と彼女は思う。
自分は常に相手が望むものを与える代わりに、それ相応の精気を貰っていた。
だけどこれは違う。
彼は決して自分に料理を作ってくれとは言っていない。
なのにどうして、自分は今ここで料理を作っているのだろうか。
そのような疑問が頭を幾度もかすめながら、料理は着々と出来上がって行く。

「ん、こんなところかな」

最後の一品ができたのを頃合いにして、頭をかすめる疑問ごと料理を皿に盛り付ける。
香りをかげば、なかなかどうして食欲を誘う香りが鼻腔を通り抜ける。
これなら、いつも自分が食べているものと比べても遜色はないだろうと内心で胸を撫で下ろしてテーブルに皿を運び置く。

「おまたせ」
「待ってないけどね」
「……そういうこと言わない」

そんなやり取りを笑顔と共にして、配膳を進める。
少女が気がつけば、男も共に皿を運んでいる。

「もう、座ってていいって言ってるのに」
「落ちつかなくてね。それにさ、こういうのは二人でやった方が速いし、楽しいよ、きっと」
「楽しい?」

少女の疑問に、男は笑う。

「楽しくなきゃ自ら進んでやりたいなんて思わないから」

何でもないことのように言い切った男。
だがそれは少女にとっては新しい答え。
今まで自分が持ち得なかった考えだった。

「……そう」
「うん、ほら、冷めないうちに食べよう。こんな美味しそうなもの、冷めちゃったら勿体ないよ」

深く考えを巡らしそうになった少女は男の声で我に帰る。
どうしたの、という男になんでもない、と笑って返し席に着く。
目の前に置かれたシチューとチキンステーキ、そしてバスケット一杯のパン。
それらを挟んで互いに対面し、いただきますと一言。
だがしかし、スプーンに手を伸ばした男とは違い、少女は食事に手をつけることなく、男の顔を窺う。

「……そんな風に見られると困るんだけどなぁ。確かに、作る人としては気になるところなんだろうけど」
「わかってるなら、早く感想聞かせてほしいんだけど?」
「はは、ごめんごめん」

言って男は料理を口に運ぶ。
それを見守る少女。
シチューを嚥下した男は、そんな少女に向けて。

「うん、美味しいよ。僕よりも料理上手いね」

と、笑う。
それにつられて少女も笑顔になり、自らも食事を進める。
何故、こんなことをしたのか。
何故、こんなにもわからないのか。
未だ何もわからないままで。







夜。
自室に篭り、少女はベッドに座り一人月を見上げる。
自分の中で自分を整理するため。
だけど、それは上手くいかない。

「どうして、どうしてよ」

泣きそうな、途方にくれた様な声で呟く少女。

「どうして、わからないの……」

ベットに体を落とし、天井を見上げる。
自分でもこうして夜に考え込む時間が増えていることなら解っている。
だけど、どうして自分がこんなことをしているのか、わからない。

「嘘、解ってる。私は、彼に笑っていてほしいだけ」

今まで笑えなかった分を笑っていてほしい。
幸福を感じていてほしい。
だから、彼に愛を、恋を教えたかった。
人の幸福はそこにあると思うから。
でも。

「どうして、そう思うの?」

昔なら。
彼から精気を吸うために、と言いきれた。
でも今は、言いきれない。

「だって、私は……きっと、そうするよりも」

『楽しくなきゃ自ら進んでやりたいなんて思わないから』

「……彼と過ごす方が、楽しいって思ってる」

自分の力を高めるより、彼と過ごす時間の方を選ぼうと。
いや、実際選んでいるのだろう。
何故なら、もう既に自分の損得とは別のところで彼に笑ってほしいと、願ってしまっているのだから。
それでももう一つの道を諦めきれない。
力への渇望を、捨てきれない。

「どうしたら、いいの……」

それ聞いていたのは、窓から優しく差し込む月明かりだけだった。







次の日。
少女は、ふと男に尋ねてみた。

「ねぇ、強くなるって、どういうことだと思う?」

それが自分への問いを誰かに委ねる行為だとわかっていた。
でも、どうしても答えが欲しかった。

「強くなる、か……いいことなんじゃないかな」

それを聞いて少女はそうか、と納得しようとした。
しかし。

「でもね、強くなってもそれを使う理由がなかったら意味がないよ」

その言葉にはっとする。

「強さを発揮する理由、それがなければそれは無意味で無価値。張りぼて程度の代物……ってこれは受け売りなんだけどね」
「……理由、君にはあったの?」
「うん、今は自衛の為だけど。昔は、皆を守りたかったいから強くなりたかったね……。ちゃんと守れたから満足してるけど」

そうやって笑う男を見て、少女は思い、認めた。
やはり、この一時を。
短いかもしれないこの時を、少しでも長く過ごしていたいと。
そしてその間、この力を彼に幸せを与える為に使っていきたい、と。

「そっか。でも、皆のことばかりじゃなくてこれからは自分のことも考えないと。私になら、我儘言ってもいいんだよ?」
「はは、そうだ……」

男の声が途切れる。
その理由が少女には一瞬解らなかった。


男が、口を手で覆い咳き込み、そこから血を床に零すまでは。


「え……っ!」

慌てる少女に掌を向けて、大丈夫と伝えようとする男。
しかし、少女は駆け寄る。

「大丈夫!?」
「だ、大丈夫。ほら、服が血で汚れちゃうから離れて離れて……」
「そんなことより自分の心配を!」
「大丈夫、大丈夫」

収まったのか、血で濡れる手を払って笑う男。
だが、口元がいまだに血に塗れている。
少女の表情からそれを察したのか、手でそれを拭う。

「ああ、床が血で汚れちゃった。拭かないと」
「そんなことより、医者を!」
「大丈夫だよ。呼ばなくても診断はわかるから」

慌てる少女とは対照的に、男は穏やかに笑って。

「もう、匙を投げられたんだから」

そう、少女に告げた。







床に零れた血を掃除して、落ちついた頃。
茶を片手に二人は向かい合ってテーブルについている。

「……どういうこと、なの?」

最初に口を開いたのは少女。
それを受けて男はカップを置き、真剣な顔で答える。

「そうだね。まず僕が一回死んだ、話しはしたよね?」
「うん」
「……で、あれだけの傷を受けて全部が無事で済むわけがない」
「でもそれは……」
「感情を失う、そんな程度で済む訳もなかったよ」

少女の言葉を遮って、男は幽かに笑う。

「僕の体はね、生きているのが不思議で……何時機能しなくなってもおかしくない状態なんだ」
「……嘘」
「嘘じゃないよ。医者も、五人ぐらいに診てもらったよ。だから最期までゆっくり過ごそう、そう思っていたんだ」

沈黙。
だがそれを打ち破るのは男。

「しばらくしたら君も自由になれるよ。だからそれまで我慢……」
「我慢なんてしてない!」

弾かれたように立ち上がってテーブルを叩く少女。
男はそれを見て、呆けた。

「私だって言われても無いのに料理なんて、普通なら作らない」

思うがまま。
この時、少女は何も考えず思う言葉全てを口から吐いていた。

「大体何回も言ってるけど、君はいくらなんでも自分のことを考えなさすぎ。人のことを考えるのもいいけど自分のことも考えてよ」
「……う、うん」
「全く、大体何で早くそういう事を話さなかったの?」
「最初のままだったらどうでもいいって思ってて。今は気まずくなるのが怖くて、かな。君は優しいから、このことを知ったら心配するだろうし」

困ったように笑う男に対して、少女はため息を吐く。
でも、表面上はそんなことをしていても、少女の内心は穏やかではなかった。
けれど、逆に少女は決意を新たにできた。
楽しい時間は思ったよりも短かった。
だけど、自分のやることには変わりがない。
残りの時間を、彼に幸福を感じさせながら生きてもらうだけ。

「あのね、そういうことはこうやってばれた時の方が傷つくんだよ?」
「……ごめん」

頭を下げる男に、内心の決意を悟られないようにして少女はしかたないなぁと笑う。

「なら、体に気をつけること。自分のことも気にかけることを約束するなら。許してあげる」
「……わかった。それと、ありがとう」

例を言った男に、礼なんてと言おうとしてやめる。
変わりに、悪戯っぽく笑って。

「あ、あと条件に一つ追加。美味しいご飯も、お願いね?」

一言、付け加えた。