昔、神と人間、そして魔族による戦争があった。
長きにわたる聖戦の末、壊滅的な打撃を受けた3つの種族は滅亡を避けるために、
互いのひそやかな休息を得る事になった。


・・・1000年に及ぶ、偽りの平和・・・


この長い休息によって得られた平和は、ミッドガルド大陸で生活している人類から悲惨な戦争と、
過去に受けた傷を忘れさせてしまっていた・・・・。
彼らは過去の過ちを忘れ、己の欲望を満たすために自らの文明を発展させていった。
一部の魔物達も人間と同じことをしていた、あるモンスターは人間のペットになって飼われたりしている。
そしてある日、少しずつその平和のバランスが崩れる異常気象がミッドガルド大陸の所々で現れ始めた。
人間界と神界、魔界を隔離する魔壁から響いて来る轟音、凶暴化する野生動物、頻繁に起こる地震と津波。


・・・平和の気運が崩れて行く・・・


そんな中・・・・
魔族と人間、種族の壁を越え、恋する者がいた・・・・、そして、魔族の血と人間の血を引く子が生まれた。
その子供の名は・・・・

 


・・・・ミュウ・・・・

 

 

 

 


・・・・・・

 

 

 

 


ルーン・ミッドガッツ王国首都 プロンテラ

ミッドガルド大陸の中心とも言われる街であり、どの街よりも人口が多い。
毎日にぎやかで騒がしい街である。
ミュウはいま・・・そこにいた・・・・。

ざわ・・・

さっきまでにぎやかだったプロンテラが、一瞬にして静まる。
すると、街の人はみんなミュウを避けるようにこそこそと逃げ出していった。

しゅ・・・ガッ!!

ミュウ「ッ・・・・!!」

どこからともなく石が飛んでくる、その石はミュウの頭部にあたった。

子供「うわああああああああ!!!!」

女「やめなさい!お願いだから・・・やめて!!」

子供「お前のせいで・・・お前のせいで兄さんはーー!!!!」

女「早く逃げて!あなたも死ぬわよ!!」

子供「やっぱり・・・やっぱり悪いモンスターだったんだな・・・その耳が何よりの証拠だ!!」

ミュウ「・・・・・・。」

あたしには、ネコのような耳が生えていた、この耳は魔族の血を受け継いだという魔族の象徴でもあるのだろう。
あたしには、人に災いをもたらし、不幸にし、時には死にいたらせる能力があるらしい・・・・。
関わった人は原因不明の病や怪我が絶えなかった。
最初はただの偶然だと誰もが思った・・・けど、あたしに関われば必ず災いが起こる・・・・。
誰も偶然とは思えなくなった、村人はあたしを忌み嫌った。
この子供のお兄さんも・・・あたしに関わったせいで・・・・。

子供「出ていけ・・・出ていけ・・・お前なんか出ていけーーーーー!!!!」

「・・・そうだ・・・出ていけ!!」

近くにいた村人もつられる。

「わしらにこれ以上災いを持ってくるな!!」

「あなたさえいなければ・・・あなたさえいなければ・・・・!!!!」

「死神!疫病神!病魔!出ていけ!!」

みんなの視線が痛い・・・まるで、人殺しを見るかのような目・・・・。
・・・そうか、あたし・・・
人殺しなんだ・・・・。


出ていけ・・・出ていけ・・・出ていけ・・・!!


ミュウ「ッ・・・ぅ・・・・。」

ミュウの目から、涙がこぼれていた・・・・。

・・・出ていこう・・・
もうこれ以上、みんなを不幸にしたくないから・・・・
あたしは、誰とも関わっちゃいけない、あたしは、誰とも会ってはいけない。

あたしは・・・・孤立すべき存在・・・・。

ミュウは街から出ていった・・・そして、迷宮の森と言われる森の中へ身を潜めた。
誰の迷惑にもならないように・・・・。

 


・・・・・

 


あれから、何日たっただろう・・・・。
何日たったかなんて数えていない、だが、かなり時間がたったのは確かだ・・・・。
さいわいこの森には食料が多く、果物などがたくさんとれる、なので十分生き残ることが可能だった。
ただし、生息しているモンスターが非常に強く、危険で近づく者は少ない。
ミュウはそんな中・・・生きていた。

たったったったったっ!!

森の中を全速力で走る音がする、走っているのはミュウである。
後ろにはハンターフライ、サイドワインダーという2匹のモンスターがミュウを追っていた。
多くのモンスターが存在するこの森の中でも一ニの強さを争そう強力なモンスターである。

ミュウ「しつこいですね・・・こうなったら・・・・。」

そういうとミュウは走る方向を変え、茂みの中へ突っ込む。
ミュウは手馴れた様子で草木を避けながら素早く進む。
その身軽な動きについてこれず、モンスターは少しずつ引き離されていく。
しかし・・・

ガッ・・・!

ミュウ「きゃっ!?」

ドシャァッ!!

わずかなでっぱり石につまずき、ミュウはその場に転んでしまう。

ミュウ「いたた・・・いつもならこんなことないのに・・・・。」

ミュウは再び逃げようと立ちあがろうとする。

ミュウ「・・うっ・・・足が・・・・。」

さっきので足をくじいてしまったのか、ミュウは立ち上がれない。
そうしている内にモンスターに追いつかれてしまった。
ハンターフライがミュウに襲い掛かる!!

ミュウ「ひっ・・・!!」

ハンターフライが襲いかかってくる姿にミュウは恐怖で目をつぶった。

???「でりゃあーーーーー!!!!」

・・・・・・。

おかしい、敵の攻撃がこない。
どうしたのかと思い、ミュウは目を開けた。
そこには、青髪で頭巾をした男剣士が立っていた。
そのすぐ横には真っ二つになったハンターフライの死骸があった。

シャーーーー!!

剣士「!?」

そう、あと一匹残っていた、サイドワインダーである。

剣士「ちぃ!!」

サイドワインダーが剣士にとびかかる。
剣士はそれを避けようとするが、完全には避けれなかった、しかし、ちょっとしたかすり傷程度ですんだ。

剣士「はあぁぁ!!」

攻撃をしてスキのできたところを狙って、サイドワインダーを一刀両断する!
見事戦闘に勝利した。

剣士「ふう・・・大丈夫か!?」

ミュウ「は、はい・・・ありがとうございます・・・ではあたしはこれで・・・・。」

剣士「待て待て待て待て。」

ミュウ「・・・・・?」

剣士「見たところノービス見たいだけど、なぜこんな危険なところへ?ひょっとしてスパノビか?」

ミュウ「・・・スパノビってなんですか?何かの料理の略ですか?おいしそうな名前ですね・・・・。」

剣士「・・・じゃなさそうだな・・・とにかくここは危険だ、出口まで送ってやるから、森からでるぞ。」

ミュウ「・・・それはできません。」

剣士「ん・・・なんでだ?」

ミュウ「だってあたし・・・ここに住んでますから。」

剣士「・・・・え?」

その剣士は驚きの顔を見せた、まぁ、無理もないだろう・・・・。


・・・しばし時間が経つ・・・


剣士「まだ名前をいってなかったな・・・俺の名はシオン、お前は?」

ミュウ「・・・ミュウです。」

シオン「そうか、ミュウっていうんだな、よろしくな!」

ミュウ「・・・・・・。」

・・・・よろしくなんて言えない・・・あたしと関わった人はみんな・・・・

シオン「しっかし、こんな森深くに人が住んでるとは思わなかったなぁ・・・・。」

ミュウ「・・・あたし、人じゃありません・・・。」

シオン「ん?どう見ても人だろ?」

ミュウ「この耳が目に入りませんか・・・?」

シオン「耳・・・・?」

シオンは少しミュウの大きな耳を見つめた、そして・・・・

ぐいっ

ミュウ「!!」

シオン「うお・・・本物だ・・・・。」

ミュウ「ひっ・・・引っ張らないで下さい!!」

シオン「おっと・・・すまんすまん・・・・いや〜、今流行りかどうか知らんがネコミミのヘアバンドかと思ったよ、はっはっはっ。」

ミュウ「・・・怖くないんですか?」

シオン「怖い?むしろ可愛いと思うけどな。」

ミュウ「そ、そうですか・・・・。」

ミュウは少し顔が赤くなった。

ミュウ「・・・あまり構わないでください・・・はやくあたしから離れたほうがいいですよ・・・・。」

シオン「ん、なんでだ?」

ミュウ「・・・・・。」

シオン「黙ってちゃわからん、ワケを教えてくれないか?」

ミュウ「・・・わかりました、いいましょう・・・。」

 


ミュウはシオンに、自分は死神であること・・・自分と関わってはいけない理由を教えた。

 


ミュウ「あたしはこの通り人間ではなく魔族・・・人に災いをもたらす者・・・・。」

ミュウ「だから・・・あたしには関わらないほうがいいです・・・・。」

シオン「・・・なるほど・・・だからこうやって人里離れたところに住んでるというわけか・・・・。」

ミュウ「・・・・・。」

シオン「そんな深く考えることでもないんじゃないか?」

ミュウ「・・・・・。」

シオン「それはな・・・あれだ、運が悪かっただけだ。」

ミュウ「・・・けど・・・偶然しては出来すぎた話です・・・偶然とは思えません・・・・。」

ミュウ「やっぱり・・・あたしが魔物だから・・・・。」

シオン「・・・・・。」

シオンは自分につけている頭巾をはずした。

ミュウ「・・・きゃっ!?」

そしてそれをミュウの頭に強引につけて装備させた。

シオン「どうだ?これでどこからどう見ても人間だろ?」

ミュウ「いや・・・見た目がどうとかじゃなくて・・・その前に・・・耳がきついです・・・・。」

シオン「・・・・だろうな、でも、似合ってるぞ。」

ミュウ「・・・ありがとうございます。」

シオン「なぁ、ミュウ。」

ミュウ「はい・・・・?」

シオン「それ、お前にやるよ。」

ミュウ「え・・・?そんな、悪いですよ・・・・。」

シオン「人の好意は無駄にせずもらっておけ。」

ミュウ「う・・・そういわれると・・・・。」

シオン「それにさ・・・それ今日買ったのはいいんだけどさ・・・つけてみたんだけどさ・・・全然似合わなかったのさ・・・・。」

ミュウ「・・・そっちが本音ですか。」

シオン「まぁな・・・・。」

ミュウ「・・・・くすっ。」

シオン「ふふっ・・・・。」

二人は小さく笑った。
この出来事があってから、シオンとミュウは毎日のように出会うようになった。
そして、少しずつ親しくなっていった。

 


・・・・・

 


シオン「よう、今日もきたぞ。」

ミュウ「あ、こんにちは・・・あれ?どうしたんですその手の怪我・・・・。」

シオン「ああ、これか・・・ここにくる途中アルギオペに襲われちまってな、運が悪かったよ・・・・。」

ミュウ「アルギオペに襲われてたったそれだけの傷ですか・・・廃ですね・・・・。」

シオン「はっはっ・・・そう言うな・・・・。」

ちなみにその怪我とは、ほっといても勝手に治りそうなぐらいのかすり傷程度だった。

ミュウ「ん〜・・・これぐらいならあたしでも治せそうですね・・・手出してください。」

シオン「ん・・・・?」

シオンは言われた通り手を出す。
ミュウの手から優しい光が出てきて、その光がシオンの傷を回復する。

シオン「これは・・・ヒール?」

ミュウ「まぁ、それに似たような物です。」

シオン「ノービスなのにすごいな・・・アコライトとか向いてるんじゃないか?」

ミュウ「そうかな・・・?」

シオン「いや、その能力がある以上もうアコライトしかない、それは運命だな。」

ミュウ「そ、そこまでいいますか・・・・。」

シオン「はっはっはっ、照れるな照れるな。」

ミュウ「・・あはは・・・。」

シオンといると楽しい。
あたしが死神だということを忘れてしまいそうになるくらい・・・・。

ミュウ「ねぇシオン、リンゴ食べますか?」

シオン「肉のほうがいいな・・・・。」

ミュウ「お肉ですか・・・それならこれがありますよ。」

満を持して出てくる化け物のエサ。

シオン「うお・・・・。」

ミュウ「遠慮なく食べてくださいな。」

シオン「いや・・その、やっぱりいい・・・・。」

ミュウ「え〜?なぜです?」

シオン「やっぱり肉より果物が食いたくなってきたわ・・・リンゴ貰うぞ・・・・。」

ミュウ「おいしいのに・・・・(もぐもぐ」

ミュウは化け物のエサを平然として食べていた・・・・。

シオン「・・・俺、ミュウのそこだけにはついていけないわ・・・・。」

ミュウ「・・・・・?(もぐもぐ」


・・・時間が経つ、空はいつのまにか夕焼けになっていた。


シオン「じゃ、そろそろ帰るわ。」

ミュウ「はい。」

シオン「またな〜。」

ミュウ「はい・・・・。」

シオンの姿が見えなくなった。
それと同時にあたしはまた考える。
このまま、親しくなっていっていいのだろうか・・・?と・・・・。
・・・いや、いいはずがない・・・

今までどれだけの人に災いを与えてきた・・・・?

・・・・ュ・・・・

この能力で何度人を殺した・・・・?

・・・・ュウ・・・・

あたしはまた同じ過ちを繰り返そうとしている・・・・。

・・・・ミュウ・・・・

この人だけは・・・この人だけは不幸にしたくない・・・・。

シオン「ミュウ!おい、ミュウってば!!」

ミュウ「はっ・・・シオン・・・・?」

シオン「剣を忘れちまってな、戻ってきたんだが・・・どうしたんだよ・・・ボーッとして・・・・。」

ミュウ「・・・ううん・・・なんでもない・・・・。」

シオン「そうか・・・なんでもないなら別にいいんだが・・・・。」

ミュウ「はい・・・・。」

シオン「じゃ、またな。」

ミュウ「・・・・・・・。」

ミュウは・・・「また会いましょう」とは言えなかった・・・・。
息がつまって声がでなかった・・・・。

シオン「・・・どうした?ほら!返事は、はい!!」

ミュウ「は、はい・・・!!」

シオン「そうそう、その顔だ。」

そういうとシオンはにっこり笑った。

ミュウ「・・・・はい。」

シオン「じゃあ、また会おうな〜。」

ミュウ「・・・またね・・・シオン・・・・。」

 


・・・・・・

 


もう・・・会うこともないのに・・・「またね」と言ってしまった・・・・。
何考えてるんだろう・・・あたしは・・・・。
・・・そういえば、いつのまにか、「シオン」って・・・呼び捨てで呼んでたなぁ・・・・。
それほど親しくなったってことだろうか。
・・・これ以上は親しくならないほうがいい・・・そのぶん別れがつらくなるから・・・・。


・・・シオン・・・


・・・・ごめんなさい・・・・

 

 

シオン「・・・おかしいな、この時間ならもう来ててもおかしくないと思うんだが・・・早く来すぎちまったか?」

シオン「ま、すぐ来るだろう、アイツは絶対時間守るタイプだし・・・・。」

 


・・・・・・

 


そのころミュウは、さらに深く森の中を進んでいた・・・・。

ミュウ「・・・・どこ?ここ・・・・。」

ここまで深く森を潜ったのは初めてだったらしく、ミュウは今、未知のマップを歩いていた。
光があまり届かず薄暗い・・・、怪しい気配を漂わせていた・・・・。

 


・・・・・・

 


シオン「・・・そろそろ来てもいいはずなんだが・・・何か、あったのか・・・・?」

シオン「・・・・・・。」

シオン「なんだ・・・?やな予感がする・・・・。」

そういうとシオンは、その場から立ち去り、走り出した。

 


・・・・・・

 


バキィーーーーーーー!!!!

突然木が倒れる物凄い響きがなる。
その事件を起こしたのは、噂だった森に住む悪魔、バフォメットだった。
今まで発見されている魔物の中でも最強と言われるボスモンスターであった。

ミュウ「う・・・ぁ・・・っ・・・・。」

あまりの恐怖にミュウは悲鳴にならないような言葉が口からでてくる。
いままで会ってきた魔物と比じゃない、空気をつたわってビリビリと威圧を感じた。

ミュウ「くっ・・・・。」

逃げなきゃ・・・そう思ってミュウは走り出す、しかし

ミュウ「なっ・・・はや・・・・」

ガッ・・・!!

バフォメットは一瞬にしてミュウの逃げる方向に回り込む、そしてミュウの頭を拳で思いっきり殴りつけた。
その衝撃でミュウは吹き飛ばされる、そしてその辺の木にぶつけられた。

ミュウ「かはっ・・・・。」

頭を殴られたせいか、視界がブレる。
さらに吹き飛ばされて木にぶつけられた衝撃で身体が痺れ、動けなくなってしまった・・・・。

ミュウ「に・・逃げ・・れ・・ぐっ・・こふっ・・・!!」

言いたいこともロクに喋れず、吐血してしまう。
ふとバフォメットのいる方向を見ると、鎌を振り下ろそうとする姿が見えた。

・・・あたし、ここで死ぬのかな・・・

・・・これで・・・よかったのかもしれない・・・

・・・災いをもたらすために生まれてきた、あたしなんて・・・

・・・死んじゃえばいいんだ・・・

そんな考えがよぎってくる・・・・
ミュウは目を閉じ・・・死ぬ覚悟を決めた・・・・。

???「はあああああああ!!!!」

ガキン!!!!

何かを剣で受け止めるような音がした・・・・。

???「ミュウ!!」

ミュウ「その・・・声は・・・シオン・・・・?」

ミュウは再び目を開けた・・・剣士が剣でバフォメットの振り下ろした鎌を受け止める姿が見えた。
その剣士は・・・シオン・・・間違いなくシオンだった。

シオン「ははっ・・・これじゃ時間になっても来れねぇわな・・・探してみて正解だったぜ。」

ミュウ「どうして・・・ここが・・・・?」

シオン「木が倒れる音がしてな・・・それで・・・・来てみたのさ!!」

キン!!

そういいながらシオンは受け止めた鎌を弾いて、バフォメットと距離をおいた。

ミュウ「シオン・・・逃げて・・・いくらシオンでもかなわな・・・げほっ・・・・。」

シオン「あまり喋るな、休んでおけ・・・。」

ミュウ「シオン・・・。」

止めたかった・・・止めて一緒に逃げたかった・・・けど、受けたダメージが予想以上に酷くて動けない。
ただ、体力の回復を待つしかなかった・・・・。

シオン「さて・・・ミュウにひでぇことしやがって・・・・。」

シオンは構えなおしてバフォメットを見る。

シオン「・・・いくぞ!!」

シオンは、バフォメットに斬りかかった・・・・。

・・・

・・・

・・・

かなうはずがなかった・・・・

何度も吹き飛ばされて・・・斬られて・・・血まみれになって・・・・

しまいには剣が折れて・・・・

・・・それでも・・・シオンは立ち向かっていった・・・・

・・・・そして・・・ついに・・・・

 

 

 

 

・・・ポツ・・・ポツ・・・

ザーーーーー・・・・・・・

・・・雨が・・・降ってきた・・・。

 

ミュウ「・・・シオン・・・。」

ミュウの視線の先には、倒れたバフォメットと、血まみれになったシオンがいた・・・。

ミュウ「シオン・・・ぐっ・・・くっ・・・・。」

まだ痛むがなんとか動けるようになっていた。
ミュウは足を引きずりながらもゆっくりとシオンに近づく・・・・。

ミュウ「シオン・・・シオン・・・・!」

シオン「・・・ははっ・・・さすがに・・・無理があったな・・・運が悪かった・・・・。」

シオンは力なく無理に笑う。

ミュウ「いま・・・ヒールを・・・・。」

ミュウの手から優しい光がでてくる、その光はシオンをつつんだ。

ミュウ「お願い・・・治って・・・・。」

しかし・・・シオンの傷はあまりに深く・・・さらに血が溢れ出てくる・・・治る気配がまったくない。

ミュウ「う・・そんな・・うくっ・・お願い・・・治っ・・て・・・・。」

ミュウの目から涙が溢れ出てくる。

シオン「ミュウ・・・俺は、もう・・だめだ・・ぐっ・・・かはっ!!」

ミュウ「喋っちゃだめです!!血が・・・血が・・・。」

シオン「無理だ・・・自分の身体ぐらい・・・自分でわかる・・・・。」

ミュウ「くっ・・・・。」

それでもミュウは・・・シオンに何を言われようともヒールする手を休めなかった。

ミュウ「・・・やっぱり・・・いけなかったんだ・・・・。」

ミュウ「あたしは・・・人と関わっちゃいけなかったんだ・・・・。」

ミュウ「あたしなんか・・・最初からいなければよかったんだ・・・・。」

ミュウ「あたしなんか・・・あたしなんか・・・・死ねば・・・いいんだ・・・・。」

シオン「・・・ミュウ・・・・。」

シオン「いなければよかったとか・・・、死ねばいいとか・・・・。」

シオン「そんな、悲しいこと言うな・・・・。」

ミュウ「・・・・・・。」

シオン「なぁ・・・ミュウ・・・・。」

シオン「お前には・・・今俺にやってるように、人を癒す力がある・・・・。」

シオン「その力は・・・災いをもたらす者が持っている力と思うか・・・・?」

ミュウ「・・・・・・。」

ミュウは首を横に振る。

シオン「・・・違うだろ?」

シオン「だからな・・・運が悪かっただけさ・・・お前は・・・災いをもたらす者なんかじゃない・・・・。」

シオン「・・ははっ・・・運が悪かった・・・俺好きだな・・・この・・ことば・・うっ・・・ぐはっ!!」

ミュウ「シオン・・・!シオン・・・!!」

シオン「がはっ・・ミュ・・ウ・・・・。」

シオン「仮に・・だ・・・、もし・・・お前が・・災い・・もたらす・・・者だとしても・・・・」

シオン「ミュウ、その力で・・・災いなんてぶっとばしちまえ・・・。」

そういって・・・シオンは・・・目を閉じた・・・・。

 

 

ミュウ「・・・シオン・・・?」

ミュウ「・・・シオン・・目、開けてください・・・」

ミュウ「シオン・・・ねぇ・・・シオンってば・・・・」

ミュウ「シオン・・・シオン・・・・」

ミュウ「・・・・・・」

ミュウ「シオーーーーーーーーーーーーーーーーーン・・・・・・!!!!」

 

 

・・・あたしに・・・もっと力があれば・・・

・・・・あたしに・・・もっと癒しの力があれば・・・・

・・・・・シオン・・・・・

ミュウの叫びは・・・無情にも、雨の音にかき消されていった・・・・。

 

 

 


・・・・・・

 

 

 

 

プロンテラ聖堂

ミュウ「司教様・・・話した通り、あたしは死神です・・・死神でも、聖職者になれますか?」

司教「人を癒し、助けようと思う心があれば、魔物だろうと死神だろうと関係はありません。」

ミュウ「・・・わかりました・・・・。」

司教「あなたのその心は間違いなく本物だということがわかります。」

ミュウ「ありがとうございます、司教様・・・・。」

司教「今日からあなたはアコライトです、頑張りなさい。」

ミュウ「はい・・・・。」

ミュウは聖堂をあとにした。

 


ルーン・ミッドガッツ王国首都 プロンテラ

ミュウはプロンテラの聖堂裏にある墓場に来ていた。
ミュウは墓に花を添える・・・・。
墓には「SHION」と名前が刻まれていた・・・・。

ミュウ「シオン・・・見てますか?あたし、アコライトになりました。」

ミュウ「あたしにはアコライトが似合うって、シオンいってましたね・・・どうですか?」

・・・・・

ああ、似合ってるよ。

聞こえるはずもない声・・・・
でも、あたしには、しっかり聞こえた気がする。


もう、人が死ぬのは見たくない・・・・。

この癒しの力で、必ず・・・・

この呪われた力を、解放してみせる・・・・!!

ミュウの旅は・・・まだ、始まったばかり・・・・。


NEXT


以上、第1話でした。
ギャグメインの話にしたいんですが・・・深い話になってしまいました・・・・。
次の更新はいつになるかわかりませんがお察しください(ぉ